Wednesday, March 3, 2010

〔トラフィック・モメント第二幕〕記述と構え 第十八章 応用と実用②他者にレスキューを求めることを恥と思うな 

 ホームレスへと転落した人の大半は、一人で全てを抱え込もうとするプライドが禍しているのだ。その事こそが現状を招いたと自覚せよ、これが本章で言いたいことである。
 他者から恩を受けることに対する極端な恐怖、あるいは誰かから雇用されることに対する極端な恐怖が人に何かを要請したりすることを躊躇するようになり、自らレスキューを求めることすら閉ざしてしまい、そこから抜け出せずにホームレスへと転落してしまうということも多いものと私には思われるのである。
 自分を救うことが出来るのは、本質的に自分だけであり、それは自己困窮の状況説明、自己能力、つまりレスキューして貰う代わりに社会復帰する際に少しでも被雇用へと直結し得る業務内容をハローワーク等で説明せよ、ということである。その為にも要請内容を明確化せよ、ということである。それよりも何よりそのようなレスキューをいよいよ必要となるようになる前に、例えば貴方が仕事で何か困窮した時には、即座に上司なり、その上司に説明したり相談したりしても埒が明かないときには友人や知人へと相談することを躊躇うなということである。そうしておけば、例えば営業成績が不審でリストラ対象になる以前に手を講じることも可能だからだ。つまり最悪な状況になる以前に、心ある他者に説明し、相談するという選択肢を経ていれば、何らかの対策を講じることも可能だという事である。往々にしてそのような対策を講じなかったが故にホームレスにまで転落していってしまうということがことの他多いのではないかと私は思っている。
 またこちらから働きかけなければ、行政とは一切動かないのである。つまり自己救済を確立する為にこちら側から救済する正当性、つまり行政がある個人を救済することの正義を理解することが出来るように、仕向け、説明することをいつでも用意しておくべきなのである。
 それは営業部員が上司に受け持ち区域のクライアントの分布状況を鑑みた営業戦略を事前に綿密にノルマ達成範囲の現実性と可能性の説明をする能力などにも適用出来るのである。つまり人間とは他者に対して、その他者が情報的に不足している部分を補うように常に情報交換をしておけば、より円滑にこちら側に課せられた業務内容やこちら側に適用される努力目標が明確化して、無駄な誤解を招くことを未然に回避し得るのである。つまりそれを日常的に怠っていると、青天の霹靂の如く、ある日突如、上司から怒鳴られ、こちらがちっとも相談していなかったが故に自分一人で悩みを抱え込み、果ては責任を取らされるという憂き目に遭うこととなるのである。つまり常に自己の立たされた状況把握をして、最悪のパターンだけは回避させるべく努力をすべきであり、それは自分一人では解決出来ない案件に関してなら積極的にその事に精通した他者に相談するなり、説明して自己の立たされた困窮に対して理解を得ることが求められているのである。そのことは残念ながらホームレスにまで転落してしまった場合にさえ当て嵌まる。つまりその最悪な困窮状況から一刻も早く離脱する為に、行政からレスキューを得ることを要請すべきであるからだ。常に我々はこう念じておかねばならない。それは「他者にレスキューを求めることを恥と思うな」ということなのである。

 付記 最近あるホームレス救済をしている人のレポート番組で、何と大勢の仮施設で救済されるべく収容されているホームレスの人たちが生活保護申請用紙を渡されて生活保護受給を提案されていた時拒否していたことを知って驚いた。要するに彼らは依怙地なプライドが禍して却って生活上での困窮を招いているのである。(河口ミカル)

No comments:

Post a Comment